薬局でのお薬の代金はどうやって決まるか

薬の話を書いたので、もう一つ書いちゃいましょう。
それが処方された薬を薬局で受け取るとき、値段はどうやって決まっているかという、ニュートンアインシュタインがもっとも頭を悩ませた問題です。

薬局によって値段が違う

処方箋を発行してもらったとき、薬局に行って薬をもらうわけですが、実は薬局によって値段が違ったりします。「嘘だ!薬価は日本全国共通だ!」と思うかもしれませんし、実際にそうなのですが、それ以外の部分もあるのです。薬局で薬をもらったら、一度くらいはその内訳をちゃんと見た方がよいかもしれません。「なんたら指導料」だとか「なんたら調剤料」などで請求されています。点数が書いてありますが、1点を10円だとして計算して下さい。(なお、市販薬は別の話です。)

かなり頻繁に改訂されているので、現在は異なっているかもしれませんが、過去*1に習ったレベル+α*2のことを書いてみます。点数とか内容とかが変わっててもそっとコメントで指摘して下さい。(全然違うじゃん、という場合は遠慮なく罵倒してください。)あと、保険調剤薬局と病院での院内処方では点数が違ったりするのですが、私はちゃんと把握していません。

大項目

大きくは以下の三つになります。あと、別個に容器とかにお金を取られるとかあります。

項目 内容
薬剤料 薬そのもので、日本全国共通。
調剤技術料 調剤する手間の料金。薬局によって異なる。
薬学管理料 指導や客ごとの管理。

薬剤料

日本全国共通ですが、処方箋に一般名が書いてあるならば、「私はこのジェネリックがいい」とかいえば安くなるかもしれません。ただし、その薬局においてあるかどうかは知りませんが。
なお、ジェネリックは薬価が安くなる可能性が高いですが、後発薬品としての点数を10点(?)とられます。後発医薬品の方がどうしてもいいなら、その名前で処方してもらえばその10点は必要ありません。

調剤技術料

この調剤技術料の中には調剤基本料(大体数百円)というのが含まれており、これが薬局によって異なります。いい加減に書きますと次のようになり、大体最大で200円以上違います。

  • 病院の前にある門前薬局だと安い(儲からなくしている)
  • 規模が小さい薬局は高い

他に調剤料がありますが、これは共通。他にも付加的なことをすると点数がとられます。

下の薬学管理料もそうですが、同じ薬が出ると分かっているなら、一回で大量に出してもらえば少し安くなります。

薬学管理料

次に、薬学管理料です。
履歴管理やら服薬指導やらの薬剤服用歴管理指導料の点数が30点あります。
もともとは二つに分かれており、薬剤服用歴管理料と服薬指導加算がそれぞれ22点だったのですが、統合された形です。
薬剤服用歴管理料は、さらにその昔には「説明書をもらわないと安い」などといわれていた部分です。これはいずれにしてももとから必要でした。服薬指導加算22点は、服薬について特別に指導してもらったときに付加されるというものでした。もっとも、何の指導があったんだ…というような唖然とする状況でも平気で加算されていたりいたしました。で、事実上、「何でもかんでもとる」ところや「特別の時しかとらない」薬局がありましたが、この30点への統合によって、不公平感はなくなりました。

薬剤服用歴管理指導料は指導がないときでもとられるんじゃないかと思いますが、私は薬局経営者でも何でもないので、よく分かりません。

それから、薬剤情報提供料15点です。(持っていなければ)薬局で「お薬手帳」というのを無料でもらえると思うのですが、これを求めて薬剤師に記入してもらうと、この15点が必要です。記入してもらうといっても、実はシールを貼るだけだったりします。「シール要らないよ」といえば15点は不要です。(自己責任で。)お薬手帳は、複数の病院に通っていても一冊にまとめるのが正しい使い方です。これで飲み合わせのチェックや服用してきた薬のチェックができるようになります。
少し前はこれが薬剤情報提供料1と薬剤情報提供料2に分かれておりました。少し簡潔になりましたね。

院内処方

病院に縁のない人には知られないのですが、薬はお医者さんに処方箋をもらって保険薬局に行って購入するというのもありますが、病院内でもらうというものもあります。これを院内処方と呼びます。

院内処方では処方箋料がなくて処方料があるとか、先ほどの薬剤情報提供料が15点でなく10点だとかいろいろあります。一般論からいえば院内処方の方が安くなりますが、ジェネリックを使うときには逆転する場合があります。

もっとも、院内処方か保険薬局(院外処方)かを選ぶという機会はあまりないのではないかと思います。ですので、それほど役に立つ知識とは思えませんが、どちらか選べるなら、院内処方の方が面倒でないので患者としては嬉しいことでしょう。医薬分業には反しますが。
一応院外処方を弁護しておきますと、処方箋を病院外の薬剤師がチェックしてくれることや、お薬手帳で飲み合わせのチェックをしてくれる*3ことといったメリットがあります。

最後に

上に書いたのは、(私が忘れていたり勘違いしているミスを別にして)大体のところですから、いろいろな加算などがあります。これだけではありません。

ちなみに、処方薬は健康保険が効きますから薬も3割負担*4です。知られていそうで、実は知らない人もいる事実。ですから例えば20点(200円)違うということは本人負担は60円違うということです。そうそう大した金額にはなりませんから、「安くするためにわざわざ1km歩きましたよ」なんていうことをするのはおすすめできません。

薬局は、洗剤やら食品やらは別として、処方薬に関しては、薬の仕入れにマージンを載せて儲けているわけではなく、管理料やら指導料やらで儲けます。あまり金の亡者みたいに言わないで下さいね。(別に私は薬局と関係ありません。)

*1:もう、10年以上前か…。

*2:たまに記事を見ているものや、今改めて調べた。

*3:たぶん、院内でもするだろうなあ。

*4:厳密には人によります。